明るい社会づくり運動*奈良

明るい社会づくり運動*奈良は「理想の町づくりを通して自らが心豊かな市民に成長する運動」を推進しています。

 

第17回私からあなたへの万葉集 入選発表

第17回私からあなたへの万葉集 入選発表

2020年5月24日(日)に予定しておりました、入選発表会・講演会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中止いたしました。

【総評】

今回の「風景と共にある私」というテーマに寄せられた短歌,および俳句・川柳の総数は1、771点でした。
一般・高校生・中学生・小学生の部それぞれに力作ぞろいで、入選作をしぼるのに時間がかかりました。そしてその入選作の中から各部1点づつの大賞を決めました。

もちろん選考委員は作品のみで選考しており、各作品の「想い」は選考ののち事務局からお聞きするという形をとっています。

この選考には、明日香村教育長の田中祐二・明るい社会づくり運動奈良会長の村上良雄・選考委員長として歌人の萩岡良博があたりました。
各作品の講評は萩岡が行っています。

 

★小学生の部★短歌
◎大賞
さくらの木ピンクのぼうしでおめかしし
わたしをさそう春のさんぽに
兵庫県西宮市 竹葉 ひかるさん
【想い】 いよいよさくらのきせつがやってきた。さくらもうれしくておめかししている。わたしも、さくらにさそわれるようにさんぽにでかけた。春のそよ風が気持ちよく、わたしもおめかししたい気分になった。
【講評】「ピンクのぼうし」でおめかしをした桜をわたしもおめかしをして見に行こうという春を迎えた心踊りが感じられます。大賞を射止めました
池の上うかんだもみじの葉もぼくも
北風ふけばプルンとふるえる
山口県光市 横道 玄さん
【想い】 寒いのは、池にうかんだ葉もぼくもいっしょなんだよ。プルンとふるえる。
【講評】 北風の寒さを「もみじの葉」も「ぼく」もプルンとふるえながら感じているという共生感覚がすばらしいと思います。
ハクモクレン白くかがやききたをむく
空からまいちるきらきらしずく
神奈川県横浜市 横山 伊織さん
【想い】 公園で見たハクモクレンの花びらが白くてしずくのようできれいだった
【講評】まだ肌寒い三月の空から舞い散るような白木蓮を「きらきらしずく」ととらえた感性がみずみずしいと思います。
さわったらポヨンポヨンのちちしぼり
これはおいしい牛の恵みだ
京都府京都市 佐藤 珠穂さん
【想い】ちちしぼりをした時に牛のあたたかみを感じたから。
【講評】「ポヨンポヨン」というオノマトペに牛のいのちが感じられます。牛乳はいのちの恵みです。
★小学生の部★俳句・川柳
◎大賞
マスクしてメガネがくもる春のにじ
奈良県明日香村 平松 蒼二郎さん
【想い】マスクでメガネがくもって、日の光に光ってにじが出たようす。
【講評】新型コロナウイルス拡大でマスクしている人が多いです。でも何人の人がメガネのくもりに虹を見たでしょうか。大賞を射止めました。
風光る新しい家でかくれんぼ
奈良県明日香村 山本 乙葉さん
【想い】 新しい家を立てました。ずっとまっていたので家が立ってうれしかったです。わらいごえが聞こえます。新しい家でしている遊びはかくれんぼです。
【講評】風光る春のぴかぴかの新しい家。心がはずんで誰でもかくれんぼがしたいです。
文字を書き筆圧つよく春をまつ
奈良県明日香村 小川 悠佑さん
【想い】 字がこくなったことを書きました。
【講評】一年間でしっかり字も書けるようになりました。力強く次の学年を待つ心構えがたのもしいです。
祖父作る野菜の色はみな笑顔
兵庫県加古川市 船越 優瞳さん
【想い】毎年お盆に祖父母の家に行き、帰るときに祖父が一生懸命作った新鮮な野菜をくれます。その野菜たちは、色とりどりで大切に育ててもらった証として、笑顔に見えます。
【講評】祖父の作る野菜の色は輝いていて笑顔に見えるのですね。家族の笑顔も見えてきます。
★中学生の部★短歌
◎大賞
雨あがりいつもの街に虹かかる
家出をとめた空の贈り物
宮城県仙台市 小野 陽菜さん
【想い】暗い気持ちでも虹を見れば明るい気持ちになれる。
【講評】故郷の街はときに息づまることもあります。出て行きたいと思うこともありますが、虹のようにやさしい自然があり、人もいます。大賞を射止めました。
いじめられ辛さを知ってる僕だから
逃げずに戦う今この時を
岐阜県加茂郡川辺町 安田 心美さん
【想い】いじめられた子が目の前でいじめられている子を勇気を出して助けようとしている姿を短歌に書きました。
【講評】いじめをなくすには、行動をとることが必要だという切実な訴えが伝わってきます。歌は「うったえ」です。
病室の窓から見える寒桜
焼きつけるように瞼を閉じる
東京都足立区 酒井 心華さん
【想い】身内のおみまいへ行ったときに同室の窓際のベッドに寝ていた女性がひどく印象に残っています。彼女は外に咲いていた桜をじっと見つめて、ゆっくりと目を瞑りました。そのあとすぐ亡くなってしまったようなのですが彼女の横顔が忘れられません。
【講評】「想い」とは違って作者が病気だと読みました。違っていてもいいのです。「瞼を閉じる」動作に敬虔な祈りが感じられます。
福寿草四季のにおいをかぎわける
君がいるから世界がきれい
愛知県名古屋市 渡辺 美愛さん
【想い】いとことの散歩が大好きです。「春の雨の日は青虫のにおいがする」「冬は小枝みたい」彼ののびのびとした自由な発想が、受験勉強のプレッシャーに追い詰められていた私をいつも救ってくれました。道端の草木や花に目を向けると、世界の輝きを知ることが出来ます。
【講評】この「君」は誰でしょう。福寿草を見つけた君でしょうか、それとも福寿草の擬人化なのでしょうか。他者への思いやりが世界をきれいに見せます。
★中学生の部★俳句・川柳
◎大賞
ヘルメットゆっくりはずし風薫る
愛知県名古屋市 水野 結雅さん
【想い】 自転車に乗って降りるときのことを詠んだ句です。
【講評】自転車を漕いだあとの少し疲れた動作とヘルメットを脱いだときの爽やかさがよく出ています。大賞を射止めました。
湯につかり母と私の女子トーク
岐阜県加茂郡川辺町 馬場 琴菜さん
【想い】 学校のこと友だちのこと、お風呂なら他の家族にきかれることなく母にきいてもらえるので、よく一緒に入っています。
【講評】母と裸のつき合い、いいですね。「女子トーク」に母とのいい関係が響いています。
ボート漕ぐ声を真下に橋渡る
岐阜県加茂郡川辺町 藤井 徳人さん
【想い】 帰りに橋を渡っていると、真下から声が聞こえてきました。
【講評】橋を歩いているとその下をボートが通過しました。その一瞬をうまく17音で切り取りました。
封とうを開けた瞬間見えた未来
岐阜県加茂郡川辺町 今井 稜人さん
【想い】 受験に受かった瞬間、喜びがとまらない時のことを思い出し川柳にしました。
【講評】高校受験の合格通知でしょうか。「封とう」と「未来」でそれを感じさせたのがいいです。
★高校生の部★短歌
◎大賞
雷雲が田んぼ飲み込み迫りくる
一両電車走れよ走れ
茨城県下妻市 綿田 美咲さん
【想い】いつも通学に使っている電車に乗っていた時に見た体験です。 怖かったです。
【講評】雷雲に追いつかれまいと一生懸命走る人間くさい一両電車です。「走れよ走れ」は作者自身へのエールでもあるのでしょう。大賞を射止めました。
雨上がり九時の歩道に鳩一羽
私の影をぱくついている
大阪府岸和田市 佐野 美咲さん
【想い】雨上がり、少し色の濃くなった歩道で、鳩が地面をつついている。私が側に立って一層歩道の色が濃くなっても、鳩は地面をつついている。あ、今、私の影食べたな。
【講評】雨上がりの歩道に一羽の鳩が何かをついばんでいます。ついばみながら私の影の中に入ってきて、私の影をついばんでいる様子です。
試合後の涙で滲む三日月は
夜空に残した僕らの爪跡
沖縄県浦添市 島袋 乃碧さん
【想い】 最後の大会が終わり見上げた夜空には爪跡のような三日月があり、自分達も何か残せたのだろうかと思い詠んだ。
【講評】涙も三日月も高校生活の爪跡です。一首に充実感が滲んでいます。
早桜道路に散っては身を隠す
まるで内気な昔の私
東京都大島町 武田 海愛さ
【想い】一足早く見頃を迎える早咲き桜が大好き。しかし、すぐに散って道路の隅に集まる。これは私が子供の頃、照れ屋で母の後ろに隠れる様子に似ている。
【講評】散ってしまって道路の脇の溝に隠れる桜の花びらを歌うめずらしい一首です。その隠れた花びらに「昔の私」を回想しています。
★高校生の部★俳句・川柳
◎大賞
いにしえの奈良の都でべびたっぴ
奈良県高取町 蜂谷 琉さん
【想い】最近の流行り。
【講評】べびたっぴ」はタピオカにストローをさすときの掛け声らしいです。古都奈良とその掛け声のミスマッチ感が新鮮です。
大賞を射止めました。
梅の花匂いが変える空の色
東京都足立区 林 都日さん
【想い】近くのお寺に朝、訪れる度に前日と違う変化が見られます。その変化は日々の天気や季節による時の流れ、私自身におこる変化が関係していると思います。
【講評】空の色をを変えるほど梅の花が匂っています。大げさと言うなかれ。梅の花への賛辞です。
うろこぐもなびくうろこに手をのばす
奈良県高取町 井上 要さん
【想い】ウロコ雲が好きなので使って見ました。
【講評】少年の大志を思います。雲に大いに手を伸ばせ。
笑い声セピアに変わる春休み
東京都多摩市 河上 桜さん
【想い】中学を卒業した春休みに、学校ヘ行くとシーンとしていて、友達とここで笑い合ったこともこれからは日常ではなく思い出になるのだなと思いました。そのときのなんとも言えない気持ちを思いだして俳句にしました。
【講評】中学生から高校生へ。春休みに中学の同級生の声もセピア色を帯びてくると詠んでいます。青春の時間は早く過ぎます。
★一般の部★短歌
◎大賞
風過ぎて穂の定まりし花蕨妻たりし
ことこの世に一度
奈良県橿原市 川元 暢子さん
【想い】枯草の中に、じっと目を凝らさなければ見過ごしてしまう花が咲いています。そして、とても地味なこの花を、さっとみつけてしまう人もいます。この花に寄せる想いがあるからにちがいありません。明日香には、目立たないけれどそんな想いの重ねられる草花がいつも咲いています。
【講評】「穂の定まりし花蕨」と妻の座のゆるぎなさが、下句でぴしゃりと決まりました。大賞を射止めました。
県都へと鮭上りくる北上の
母なる河の子宮の温み
岩手県一関市 高橋 悦朗さん
【想い 東日本大震災あったとて、自然の営みがダイナミック。
【講評】下句「母なる河の子宮の温み」に自然のダイナミックな「温み」が感じられます。
風花のプラハの街は夢のよう
癌をかくした夫に抱かれて
静岡県浜松市 湯浅 弘さん
【想い】 癌の事は知りませんでした。ハネムーン以来はじめて連れて行ってもらった旅でした。働きたおした夫で皆に慕われる最高の夫でした。
【講評】「地球とは思い出ならずや」と言った人がいますが、下句のロマンチックせつなさが心に響いてきます。
心音がお腹の中で二重奏
十月十日毎日が春
東京都練馬区 染宮 千明さん
【想い】妊娠中のことを書きました。
【講評】選者は皆男性ですので、実感はできませんが、短歌のしらべに母となる女性の幸せが脈打っているのが感じられました。
核燃より都市へとつづく送電線
若菜のハウス跨いでをりぬ
青森県弘前市 長利 冬道さん
【想い】下北半島の核燃料施設から都市部へとつづく送電線は、若菜のビニールハウスを跨ぐようにして流れている。
【講評】淡々と事実だけが詠まれていますが、読み終わると現代文明の恩恵と不気味さが思われます。
★一般の部★俳句・川柳
◎大賞
コロナ去れ男綱に願う寒飛鳥
大阪府八尾市 内海 登志子さん
【想い】日々患者が増えていく新型肺炎を危惧する毎日の中、二月中旬夫のライフワークとする神社巡りに同行し奥飛鳥へ行きました。稲渕の棚田や飛鳥川にかけられた女綱、男綱それらの説明を読みコロナウイルスと結びつきこれ以上入ってくるなと、広がるなと念じる気持ちを詠んだ物です
【講評】初句「コロナ去れ」インパクトがあります。男綱は結界を示す縄。寒い明日香での祈りは熱い。大賞を射止めました
紫雲英田にうもれ幼なにもどる妻
静岡県三島市 森島 久志さん
【想い】 陽光の中をげんげ田におりていった妻は、幼い頃に戻って髪かざりを作り始めました。
【講評】誰の心にも残っている幼な心を妻に見たのでしょう。惚れ直したでしょうか。
木もれ陽をそっと両手に包み込む
香川県丸亀市 寒川 靖子さん
【想い】自然の摂理に感謝。
【講評】作者の繊細な感覚が一句に包み込まれています。
ムツゴロウの求愛ジャンプ泥まみれ
福岡県福岡市 三吉 誠さん
【想い】ムツゴロウが干潟の泥の上で全力を尽くして、泥まみれになりながら求愛ジャンプをしている。ムツゴロウ頑張れ!
【講評】人間だけでなく生きとし生けるものの一生懸命のいとなみは心を打ちます。泥まみれのムツゴロウの、求愛が成就しますように。
冬晴れに洗濯!換気!と妻動く
愛知県犬山市 射場 正さん
【想い】冬の一日、めちゃくちゃにいい冬晴れ。冬は洗濯物が多い。部屋も閉め切っている。それで妻が、洗濯!換気!と大きな声で言いながら、動き始めました。掃除も!言っていたのですが、これは私が、掃除機を掛けました。二人で二時間位、協力して実施した、冬晴れの気持ちのいい日を、メモリーとして残しておこうと、この句が出来ました。
【講評】寒さに負けずキビキビと家事をする妻。元気がもらえる俳句です。

 

 

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